vbnm1005の日記

恥をかき集めた

うつりかわり

シーラソシ、ドーシラド、レドシレソファミレ……本日もJRなんとかをご利用いただきましてありがとうございます。この新幹線は、なんとか何号、東京行きでございます……車窓は、グラデーションのようにその色を緩やかに変えてゆく。たまにトンネルを抜けると劇的に変わることもあるし変わらないこともある。

トンネルを抜けるとそこは雪国だった、なんて有名かつ凡庸フレーズが脳裏をよぎる。あれは、祖母の家がある五大都市から、実家のある雪まみれ・某ファミレス未上陸・宅配は+1日要する陸の孤島、というさびれた地方都市に向かっていたときだった。

執筆5分で本題から脱線してしまった。……新幹線に乗りながら、脱線なんて縁起でもない。新幹線が仮に最高時速で脱線したら、最後に空をとべるのかな、絶対飛びたくないけどな!!

 

こうして緩急つけながら、さっきいた街とは次第に違う空間へと誘われていく感覚、それが未知の土地へ向かうのであればわくわくするだろうし、慣れ親しんだ街へ向かっているのであれば安心するのであろう。

しかしわたしはいま、出生し、何年か住み、第2の故郷と呼べるほど遊び、さらには浪人をして、祖母がいて、友だちがたくさんいる政令指定都市を離れて、人生で上陸回数10回程度の東京に向かっているのである。

次に、深い地下鉄に不快になりながら()移動し、祖母の家で寝泊まりするのはおそらく夏だ。

 

昨日、実家のあるゴーストフラグタウンから、祖母の家のある街まで向かう高速バスに乗っているときは感じなかった。その高速バスをつかって何度も往復したし、行き先も慣れ親しんだところだから、その移動すら「いつも」のもの、だったのだろうか。

 

JKのころたまっていたお店がどんどんつぶれていき、街ゆく人の平均年齢は80歳、そんなゴーストフラグタウンの絶望的なフラグっぷりがいとおしくてたまらなくなる。

店主の気の迷いでなぜかよくわからんとこに存在している素敵なお店につれていってくれる母や先輩、意味不明なラインを送ってきたり毎朝結構美味しいパンを押し付けてきたりする父へのじんわりした思いが多少なりとも込み上げてきたりもする。

甘辛い味付け、筆舌に尽くしがたいほど旨い地酒(ただし酒に弱すぎてひと口しか飲めない)、……。

 

時速300キロ越えの、人の限界を明らかに凌駕した速度、つまり私の処理能力の限界で次々と風景を見せられたら、そりゃああたまも混乱して気が迷う、のかもしれない。

 

また関係ない話するね。去年の夏まで、新幹線がはやい、ってあんまり実感したことがなかった。

新幹線を使うとしても、どの新幹線も停車する駅しか使ったことがなかったから。従姉妹の結婚式で、遅い新幹線(矛盾)しか止まらない駅をはじめて利用したときに知った。通過する新幹線のあまりのはやさに、足がすくんだ。

 

飛行機は、その点良い。わけのわからない轟音と浮遊感と共に、恐怖の異世界に誘われ、気づいたら目的地についているだけなのだ。潔い。

とかいいつつも、ちなみに私は飛行機は苦手だ、苦手レベルはハリドリと同じぐらい。しかし私が飛行機に恐怖心を抱くきっかけとなったのは、この街にに発着する飛行機がほとんどプロペラ機だからだ。都会っ子だったら飛行機大好き人間だったのではないか。

しかも我がタウンは気候が荒い。だから、死ぬほど揺れる。上下運動がえげつない。何度もおしりがフワッと浮く。私は軽いからだ、と物理学を無視したフレーズで自己肯定感を高めていくほか、やりすごす方法はない。

ちなみに、ゴーストタウンに発着する蛇瑠はほとんどプロペラ機ではないと知ってから、私は穴ユーザーをやめた。穴のほうが、コンソメスープが好みなんだけどね。

 

今回は、先日もブログに書いたとおり、いまからN響を聴きにいくので東京経由の帰宅。そのため新幹線を使っている。しかも、高校のパートの後輩に3年ぶりに会える。楽しみになってきた。感傷にひたる気持ちが、どんどんワクワクによって押し退けられてきているのを感じる。

 

そうこうしているうちに、だんだんと目的地に近づいてきた。おりる支度をしよう。

寝落ちせずに済んだことに万歳。